東京ちょっと漂流(その5):「殺生」と「慈悲」

坂東眞砂子さんの「猫問題」に対する藤原新也さんの見解が述べられた「メトロ・ミニッツ」を手に入れました。
「殺生」と「慈悲」という相矛盾した苦しみの中で、死の苦しみを自分の努力で軽減してやることが最善の選択だとすれば、坂東さんの行為はそれを欠いている、と断じています。「猫問題」がこれほど騒がれたのは、人々が坂東さんの行為に「慈悲」の欠如を無意識のうちに感じとったからかもしれません。やはり愛の無い殺生は許されないということでしょう。
藤原さんは、坂東さんの「慈悲の無い殺生」がフィクションであって、不可避の殺生から逃げている現代日本人への警鐘に過ぎないかもしれない、と結んでいます。
「人の噂も75日」というのも今は昔。この「猫問題」は一ヶ月も経たないうちに、噂の第一線から退いてしまいました。


芝浦 2006/8/31
Leica M3 + Zummicron-M 50mm/F2
Fuji PRESTO400@400