ハービー・山口さんの写真集

ロンドンのパンクを撮ったハービーさんの2冊の写真集は知る人ぞ知る珠玉です。


「LONDON AFTER THE DREAM」(流行通信社 1985)
「LONDON CHASING THE DREAM 」(カラーフィールド 2003)

後者は、すでに絶版となっている前者のリバイバル版のようなものですが、もちろん全くの別物です。
すでに後者を持っていたのですが、アート・フォト・サイトの写真展で思いがけずも前者を入手することができ、今2冊を見比べています。
写真の構成以外は同じだろう、って思うでしょう?
そう、大抵同じシーンでは同じ写真が使われているのですが、トリミングの有無やカットの違いが時々あって、オオっ! と思うことがあります。
たとえば、トリミングについては、黒縁をわざわざ付けて焼いている後者に対して、前者では縁はなく、しかもトリミングされている写真も混じっています。最近のシバリを過去の写真にも課したというところしょうか。ブレッソンもトリミング前提で撮影していたということですから、最近は何かと窮屈になってきたことの現れのひとつかもしれません。
私が最も好きな写真のひとつに「Dinner Hall」という題の学生たちを撮ったスナップがありますが、前者と後者とではカットが違っていました。よくは覚えていないのですが、最近の写真展で使われているのは後者のもののような気がします。少なくとも最近の印刷物は全部後者です。初めて出会った前者のカットの中の女の子の笑顔は、私に後者のものよりも魅力的でした。後者は後者で、理知的な雰囲気が出ていていいのですが、きっとハービーさんも迷ったんじゃないかと、想像してしまいました。
写真集のマニア的な楽しみ方でした。


今日の写真はハービーさんにあやかって再びALT-Rのトップの写真でいきます。ただ、リンク先はFotologueの方ですけれど。



渋谷 2004/10/31
Minolta α-7 + AF 50mm/F1.7
Kodak T-MAX3200@3200, TMAX(1:4)