ライカを買いに行く日

 「ライカの写真術」(内田ユキオ著)にそんなエッセイがあったが、今朝ついにM3を買ってしまった。
 手が出ない値段ではなかった。10万円くらいのものも目にするようになった。でも、今までボディに10万円もかけたことなどなかった。IIIaを買ったのも、42000円とそこそこ安かったから。NIKONFM3A銀塩カメラでは最も高い買い物で58800円。貧乏ったらしい話になってしまった。とはいえ、今の10万円って値段は、踏ん切りさえつけば、手が出せないような値段ではなかった。
 「ラッキーカメラ」でM3の程度Bが10万円で売っていた。ネットで見る限り、10万円はほぼ最安値だった。ネットに掲載していない店は?最も身近な「カメラのきむら」は?今朝は様子を見るだけにしておこうと、開店してすぐの10時に新宿店を訪ねた。財布には下ろしたばかりの15万円を入れて。
 10万円前後のM3が3台あった。委託品を除く2台を見せてもらった。ひとつは製造番号85万番台の2回巻き上げ、もうひとつは98万番台の1回巻き上げ。外観は、85万台の方が綺麗だった。
 レンズもつけてもらって、早速触ってみた。これが噂のファインダーか!確かに、今まで覘いたどのレンジファインダー機のよりも遥かに見やすい。0.91倍の広さには感激した。それじゃあ、シャッターは?うーん、静かだ。これが「ちゃっ」か。IIIaとは似ているかな?Zorki-1eとは明らかに違う。KONICA SIIの方が静かだけど、あっちはシャッターを切ったという感触が今ひとつ。ライカは手になじむと言われているらしいが、まさに実感した。IIIaを持った時にも感じたが、一回り大きなM型の方がよりシックリ感は良いかもしれない。
 いろいろといじりまわしてみるうちに、どちらかを買うことを決心してしまった。綺麗な85万番台か、汚れのある98万番台か?両方とも何がしかの手入れがされているのは確かだった。見た目の動作には問題はなかった。後は好みか?最終的は決め手になったのは、裏蓋のがたつきと後幕の汚れ、それに、巻き上げ回数だった。85万台のものは裏蓋が少しパコパコしていて、後幕も少し染みかカビ痕のようなものが着いていた。2回巻き上げの機構もトラブルの種になるかもしれない。結局、表面に汚れはあるものの98万番台のボディを買った。すでに10時半を回っていた。
 とうとうやっちゃった、って感じ。


 その足で「ヨドバシカメラ」へ寄って、L-M変換リング(28-90)*1をかった。こんなんが5000円もするなんて。帰ってから、早速、Summicron L 50/2(沈胴)を装着して、ベッサRにつけていたストラップをつけた。M3のオーナーになったことを実感。
 夜になったらどっかへ撮りに行ってみようっと。


 製造番号をものの本で調べたらこのM3は1960年のカナダ製だということが判明した。え〜っ!ドイツ製でないのっ!と、いささか不安になって、もっとよく調べたら、もちろん故障が多いとか使用感が違うとかいうことは無いんだけれど、希少な存在だったことがわかった。M3は全体で22万6000台あまり生産されたけれど、カナダ製はそのうちわずか7080台しか生産してないということ。何でそんなものがよりによってここにあるの?これも何かの縁でしょう。ちなみに、85万番台の方はドイツ製でした。このカナダ製は、ボディを見れば一目瞭然であって、いわゆる「ビッグM」、すなわち、「M3」の文字が大きとのこと。なるほど大きかった。とんだおまけが付いていたというわけだ。

*1:ファインダーに常時50mmと90mmのフレームが出っ放しなのはご愛嬌ということで。