スクエア事始

 暫く前から中判カメラに魅力を感じていた。6x7や6x4.5なんかでスナップをしたら面白いだろうなあと考えていた。重いだろうけれど。
 「ハッセルブラッドの時間」(藤田一咲著)を読んだ頃、その熱はピークに。毎日のように中古屋めぐり。ハッセルブラッドはベーシックセットでも中古で15万円はしてしまう。そんな多額を、一時の熱につぎ込めない。そのうち、Rolleicordが比較的安価で売られているのに気づく。Rolleiflexの安価版とはいえ、その写りはなかなかなものらしい。それに6x6だから、単純に比べたって、画質(画面)は35mm版の約4倍だ。
 RolleicordならIV以降のモデルが良さそうだという情報はすぐに得られた。後は、個体の状態と値段で決めればよい。Vaが「フジヤカメラ」で2万円台で売られていたが、問い合わせの時点で売却済みだった。「喜久屋」も比較的安く売っていたので聞いてみると、Vaが箱とキャップ付きで46200円だった。さっそく店に行ってみると、Vaの隣にOH済のVbが同額で並んでいた。そういうことならVbを、ということで購入してしまった。実際のところ、Vaは低速シャッターがもたついていたので、状態はあまりよくはなかったと思う。使い方は、店の方から丁寧に教えていただいた。フードも買ったら、58800円。そのとき財布に入っていたほぼ全額に相当した。
 モノクロフィルムには、いつもならT-MAXというところなのだが、せっかく画質が向上しているのにあえて粒子を荒らすこともなかろうと、フジのPRESTOとACROSを手に入れた。まず、PRESTOを詰めて、日曜日の勝どき橋付近へ出かけた。天気は曇り。1/125のf11で、うつむき加減に、ベイエリアの高層マンション群を。

 隅田川岸は、遊歩道が整備されていて、花壇もところどころにあった。もう菜の花が咲いていた。こんなところに菜の花があったとは知らなかった。

 ユリカモメが欄干に停まっていた。ファインダーを見ながら、にじり寄って約3mまで近寄ったが、まだ逃げない。12枚目のシャッターを押した。もっと寄れたようだったので、惜しいことをした。

二眼レフは面白い。

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Rolleicord Vb (Xenar 75mm/F3.5)
Fuji PRESTO400@400, TMAX(1:4) 6'/20C