アラーキー「東京は、秋」

おもしろかった。
左側のページに街撮りスナップ、右側のページに写真をネタにした夫婦漫才(ボケとツッコミ)と、見開き1話の小ネタが続くのだが、言葉といい、間といい、絶妙の掛け合いになっています。70年代の東京のをノスタルジックに笑わせてくれる写真集でした。


夫 ■(略)ようするに街のディテールを撮るのが好きなんだよね。汚ないからとか、写真的ドキュメンタリーとか、そういうことは絶対思わないわけ。


夫 ■ 感性というか、感覚でディテールとか濃淡を撮る。


妻 ■ 下町ってのはわかるよ。こういう写真は、自分のノスタルジーが出ていると思いますか?
夫 ■ ノスタルジーってんじゃないけど、ふと、撮っちゃうんだよな。こういうのはアッジェなんだよ。(略)


夫 ■(略)全てが原写真。いつも通ってる、なんでもないいつもの所を、なんでもなく撮る。それが欲しいんだよ。
妻 ■ それがなかなかできないでしょ。できないと思う。(略)
夫 ■ だいたい街が表現してるのに、それを複写すればいいのに……。
妻 ■ 自分を表現したくなっちゃう。
夫 ■ そうじゃないと表現者とみられなくなっちゃうと思ってる。それがダメなんだよ。
「東京は、秋」(筑摩書房)より


というわけで、今日はノスタルジックな三ノ輪界隈を10枚です。表現しないっていうのは難しい。


三ノ輪 2006/6/1
Leica M3 + Zummicron-M 50mm/F2
Fuji PRESTO400@400