上洛!(その9):夜の鴨川・高瀬川

KuritaKeiichi2006-05-09

ストリートスナップと肖像権に関しては議論が尽きませんが、土門拳氏が意外にも謙虚な姿勢で臨んでいたことを、最近、30〜40年前の氏の著作の中で発見してしまいました。スナップ写真は、被写体から「お目こぼし」をしてもらっているのに過ぎないのだがら、被写体への配慮なしには撮ってはならんと、書簡形式で説いています。土門拳氏というと、私には迫力を漲らせて被写体に迫りまくっている姿ばかりが印象的ですが、その裏で、細かな心配りもあったのでしょう。同様の姿勢はブレッソンの写真の中にも見受けられます。
一方で、至近距離ですれ違いざまの一瞬を掠め取ったような写真に「ストリートの緊張感」が見えてよいとか、警察沙汰になったりカメラを投げ捨てられたりするまでに被写体に嫌悪を与えて撮った写真を「撮る意義のあるものが、ちゃんと写っていた」などと評価するようなプロ写真家たちもいるようです。
結局は、被写体、撮影者、批評者、鑑賞者それぞれの感性と思想の問題になるのでしょうか。


さて、「上洛!」ですが、4月23日に撮った写真がようやく最後まできました。たった数時間の情景を、ここまで引っ張ってしまうとは、我ながらあきれてしまいますが、このペースであと3日分を行ってみようかと密かに企んでいます。


鴨川(四条) 2006/4/23
Leica M3 + Summicron-M 50mm/F2
Fuji SuperPRESTO1600@1600